mazcomemo

i can't help it.

北海道に来ている。

祖父に不幸があった。直前まで海外にいて、日本に帰国した瞬間の連絡だった。その翌日には北海道へとまた飛行機に乗ることとなった。

祖父との思い出で一番覚えているのは、祖父と二人で留守番していたことだ。弟の出産のために母方の祖父の家に里帰りしていた時のことで、当時の私は弟が産まれることをあまりわかっておらず、みんな病院に行ってしまい暇なのでクレヨンで絵を描いていた。そのうち何故か壁に絵を描き始めたのだけど祖父はそれを見て怒ることなく、上手だと褒めてくれて楽しかった。もちろんその後帰ってきた祖母にめちゃくちゃに怒られたらしい。断片的だけど覚えている。

祖父はとにかく私を可愛がってくれて怒ることはなかったし、一緒にいたずらをして遊んで、一緒に祖母に怒られた。古い人だったけど、のんびりした性格で初孫だった私にはめちゃくちゃ優しくていつもへら〜って笑っていた。北海道の独特の訛りで私の名前を呼んでくれていた。家の裏にある畑で採れたじゃがいもやリンゴを送ってくれた。じゃがいもが大好きなのはこれが理由かもしれない。私が大きくなってからは忙しいだとかかこつけて足が遠のいてしまって、全然会えていなかった。孫として甲斐性がない。

晩年は大きい病気をしてしまい身体が弱くなって何度も入院を繰り返していた。元気だった祖父との思い出が多いので、その時と今の祖父を比べてしまって、寂しい気持ちになってしまうのが嫌で足が遠のいていたんだと思った。誰よりも現実を受け止められなかったのは私だった。葬儀には間に合った。顔が見られた。やっと祖父に会った日のことだった。