mazcomemo

i can't help it.

道路を挟んで向かいにマンションがある。ふとした時にベランダの窓から向かいの部屋が見えてしまった。プライバシーもあるので、ジロジロ見るわけにもいかないのだが、動いているのを見るとつい見てしまう。ギリギリ何かのシルエットがわかる程度で、詳細までは伺えない。いつの日か、動くものがどうやら猫だとわかって、ぼんやりとした猫の気配を見付けては喜んでいた。
窓際にはキャットタワーがあり、たまに窓の近くを猫らしい白いもさもさがいる。垂れ下がっているのは多分尻尾で、目を離してまた見ると尻尾が無かったりする。思いの外短い時間で猫は姿勢を変えているようだ。つい窓の近くを通りかかると猫らしきものがいるかいないか見てしまう。
寒い日はなかなか現れないし、暖かくなってきたらたまにいる、飼ったことがないけど、日中は寝て過ごしていると思っていたので、猫もまあまあ忙しいのだな、と思う。
そんなある日、しばらくカーテンが閉まっていた。そんな日もあるんだなぁなんて思いながら過ごしていたら、カーテンの空いた次のときは部屋全体が空っぽになっていた。その部屋の住人は引っ越してしまったのだ。
窓際に来ては、今日は猫がいるいない。と一喜一憂していた日々が終わってしまった。ありがとう猫のような存在と住人。お元気で。